相手に触れること。

最近、施設のボランティアで心がけていることがある。

慣れてきたら手や背中に触れること。

スキンシップの有無で相手の反応が全くと言っていいほど異なる。

今お話する人達の中に、耳が遠い方がいる。
聞こえづらさから最初は反応が鈍かったのだが、耳元で大声で話すと笑顔になると分かった。
特に、手を重ねて話した時は、特別笑顔になる。
耳元で突然叫ぶのもありだが、手に触れてからだと「今あなたとコミュニケーションを取りたいと思ってますよ〜」と示せるから話しかける側にとってもよいと思う。

人肌恋しい、という言い回しがあるが、私は人のぬくもりは相手を安心させる力があると信じている。
どうやって利用者の方々に楽しんでもらうかはいつも考えることだが、加えてほっとできる環境作りをしていきたい。

人生の終盤が退屈なんて嫌だ

 パンクな題をつけてしまった。

 この前、施設に行ったら利用者さんたちが数独を解いていた。

 普通の数独の本だと文字が小さすぎるので、エツ子さんの娘さんが拡大コピーしたお手製の問題だった。楽譜や学校で配られるようなプリントの裏に、大きな枠が印刷されていて、赤いマジックで何個か数字が埋めてある。何だか家の様子やご家族との会話まで感じられてほっこりした気分になった。

 難易度も初級と中級があって、エツ子さん、ターさん、ミーさんがそれぞれの難易度に合わせて問題を解いていた。

 てっきりそういったパズルが好きなのかと思い、「お得意なんですかー?」とエツ子聞いたところ、

 「暇つぶしよ!」

 という答え。

 衝撃を受ける。

 好きではないんか???

 「こういうところにいるとすることがほとんどないでしょ~。そりゃ色々な催しもしていただきますけど、やっぱりこういう風に暇な時間ができるの。じーっと座っているだけだと時間がなかなか過ぎなくて。退屈。」

 「でも、こういう風にパズルを解いていると、あっという間に1時間とか過ぎてるの。頭は疲れるけどね。」

 こういってケラケラ笑いながら、ターさん、ミーさんと言って笑いあった。

 

 私は平日仕事があり、終わったら数時間の自由時間を愛おしく思い、好きな料理をしたり、友達とラインをしたりしている。休日も連休もあっという間で、もっと欲しいと常に思っている。

 しかし利用者さんたちは逆に時間を持て余している。 

 退屈を紛らわすためにマスに1から9までの数字を埋めていく。

 その気持ちを想像すると物悲しい気持ちになった。

 人生の終盤が退屈なんて嫌だ。

 

 私が施設に通う理由は色々あるが、利用者さんたちに楽しい!と思ってもらえる時間を増やすのは大きな目的の一つだ。

 

 高齢者介護に関して言えば、この10年で制度は各段に良くなった。胃瘻が減ったし、自宅で伴侶が身を粉にして介護をしなくて済むように、色々な施設が整備された。つまり、身体的な介護制度が充実した。

 

 しかし、精神的な介護は別だ。人生の残り10年~20年が退屈になってしまう、という問題は残っている。実は寂しい、家族に気を遣わせたくない、つまらない、といったネガティブな言葉は利用者さんたちからよく聞かれる。

 今通っている施設は、私から見て雰囲気もサービスも非常に素晴らしい。しかしこの施設ですらそういった発言が聞かれるのだから、全国で見たら何万という人たちが同じ思いを抱えているのではないか。

 これらを少しでも解消するために、微力ながら活動していきたい。

 

※個人名はいずれも仮称です。

2019/6/29 広告の箱作り

 

新聞によく入ってくるスーパーや不動産の広告を半分に切り、折り紙の要領で折ると箱ができる。箱は卓上や台所でちょっとしたゴミ箱に使える。

昔小学生のときに習った気がするが、かれこれ20年ぶり?に箱を制作した。

 

教えてくださいと言うと、教えるのが好きな方が、1つ1つ丁寧に教えてくれる。

周りの人も巻き込んで、みんなでワイワイと楽しく作った。

 

広告を折るなんて一体いつぶりだろう。

すっかり童心に帰った気がする。

みんなでワイワイと手作業をするだけで楽しい時間が過ごせるということを、かなり久しぶりに思い出した。

 

あとは今回も年配の方の知恵をいただいた。

今はスマホが普及し、テレビもあり、パソコンもあり、時間潰しには事欠かない。

でも広告で箱を作れる人は、同世代に何人いるだろうか。

そういうものを引き継いでもらえるのは、有難いと思う。

 

ショートステイの方は、普段家で一人なので、施設に来てお喋りに興じるのを楽しみにしていた。

そのような方のストレス発散に少しでも役立てたならうれしい。

1/15に何食べる?

このブログを書くきっかけは、たぶん私の食い意地から来ている。

日本古来の食べ物のお話をうかがったので、これは記録したい!と思った。

 

初日は1月ということもあって、利用者の方とお正月の食べ物の話をした。

 

ちなみに、お雑煮の味の違いや、おせちの中身など、初対面の方ともある程度盛り上がれるので、他人との会話が苦手な方でもおすすめのトピックだ。

 

そこに出てきた料理。

 

小豆粥。

お粥に小豆を入れたもので、1/15に食べる物らしい。

 

甘い物好きの脳内にはぜんざいしか出てこない。

思わず、

甘いんですか?

と聞いてみた。

 

塩味だった。

 

てっきり、一部のご家庭の習慣かと思ったら、Wikipediaは言う。

紀貫之が書いた土佐日記にも書いてあると。

土佐日記といえば、1000年以上前の書物じゃん!

 

甘いのは私の考えだ。

 

Wikiを疑うわけではないが、裏付けを取るために、土佐日記の原文を当たった。

確かに1/15に、今年は(旅の途中なので)小豆粥を煮なかったわ、という内容が書かれている。

わざわざ書き記すとは、きっと毎年、煮てたんだね。

紀貫之が残念がってる様子が目に浮かぶようだ。

 

 

小豆粥は、小正月の1/15に健康を祈って食べる料理とのこと。

1/7の七草粥とは別物だそうだ。

 

それにしても、身の回りで1000年以上続く文化は、どのくらいあるだろうか。

 

利用者の方の中にも食べる習慣のある方とない方がいた。

一体、今の日本人の何人が小豆粥を知っているだろうか。

少なくとも私は一度も聞いたことがない。

このまま時が経てば、この習慣は完全に無くなってしまうかもしれない。

今回活動をしなければ一生知らずにいたかもしれない。

利用者の方が持つ知識や経験の一端に触れて、知らなかったことを知ることができた。

伝統文化に気づくことができた。

こうしてそれらを記すことで、少しでも残せるといいと思っている。

デビュー

この前、初めて某所で介護ボランティアに参加しました。

サービスの利用者さんと会話するという内容なのですが、気がかりが一つ。

 

知らない人と喋るのはめっちゃ緊張する。(要は人見知り。)

 

なぜこの内容で応募してしまったんだろう!!!!

私のあほう!あほう!

 

休日は誰とも話さなくても気にならない私。

黙々と作業するのが好きな私。

 

コミュニケーション能力的な何かが足りてない気がする!

しかも受け入れ側の方々は、「来てくださるんですか!?嬉しいです!!」と歓迎モード。ミジンコの心臓しか持たない私は変に緊張しました。

 

しかし、自分から飛び込んだものは仕方がありません。

腹をくくって活動させていただきました。

 

結果、

 

ふう、何とか会話が続いた。よかった汗

 

そこかよ、と突っ込まれそうなレベルの感想ですが、人生の大先輩の方々と会話ができただけでも一安心です。

デビュー戦は利用者の皆さんに支えられて何とかなりました。

はじめまして!

 はじめまして!Yuriと申します。

 

 最近、介護関係のボランティアをしています。

 本職ではないものの、昔から介護に興味はあって、やっと携われることになりました。

 利用者の方々に興味深い話を色々とうかがうので、周囲に迷惑がかからない範囲で記録していきたいと思います!